わたし達の使命
社会背景
あらゆる場面で壁が見られる社会、制約、規制、法律、権力、時間、組織 ・・・人と人のあいだの壁。現代はたくさ
んの壁によって囲まれ身動きが取れない状態になっている人達がたくさんいるというように感じます。行動できない、今
の殻から抜け出すことができない、思考停止による現状からの脱却のあきらめ。個人が尊重される時代において、疎
遠になってしまう他人との距離を感じてしまう一方で、SNSやブログなどに見られる他人とのつながりを持ちたいとい
う欲求とそれにまつわる苛立ち。
人はやはり生身の人間との関わりを求めているのではないでしょうか。都会で顕著に見られる人とかかわることが煩
わしいという気持ちは、本心ではなくそれを妨げる何かやそれを取り払うための方法を知らないからなのでしょう。その
何かを克服することが社会に求められているように感じます。
コミュニケーションの重要性はさまざまなところで語られていますが、人と人が互いに語り合い、ぶつかり合い、摩擦を
おこすことはその人自身にとって目からうろこが落ちるほどの気づきを与えるかもしれないでしょうし、次への行動のき
っかけになって行くかもしれません。
わたし達が、そしてわたしたちの子ども達が生きていくこの社会は、今までと同じ価値観では乗り越えて行けない時
代に来ています。社会が変わって行かなくてはならない、次の時代の価値を創り出さなければならない、そのためにわ
たし達は目の前にある壁を壊し、越境して行く時に来ているのだと思います。
わたし達ができること
わたし達は長年演劇にたずさわって来ております。演劇とはひとことで語るにはあまりにも表現方法が多様で扱う
問題も目的も様々です。しかし、ひとつだけ共通なものがあるのはそこに人とあらゆるもののコミュニケーションを通し
た出会いがあるということです。ワークショップも同じように人と人、人とさまざまなモノやコトと結びつくことによってそこ
に何かが生まれるのだと思います。
人という資源をコミュニケーションを通して活用し、地域社会を活性化していくことのできるのがわたし達の作りだすワ
ークショップという場だと信じています。
行動を起こそうとする人の背中を押すこと。コトを始めようとする人の手助け。たくさんのモノと出会い。ワークショップと
いう場で楽しみ、学び、気づいてもらい、発見し、勇気がわく。わたし達はそんなことを考えています。
演劇を創作する過程は、そこに集まった者達が言葉と体と感覚でコミュニケーションを繰り返し、互いに影響しあい
ながら創り上げていくものです。それは共同で一つの物を作る、身体を使う、即興でいろんなことを試す、自分自身と
向き合うなどの要素を含んだ多角的な学びの体験ができる場です。この演劇創作の過程をひとつの手法として構成し
たのが「シアトリカルラーニング」です。
つなぐ場
わたしたちが運営するワークショップCAFÉは人と人が出会う場です。(まだ物理的には架空のCAFÉですが、) この
場を通じさまざまな職業、立場、年代の人が出会い関係が作られていき、そこから新たな価値が創造されていくことを
期待します。
そして、「シアトリカルラーニング」その他の手法、CAFÉワークショップでの出会いにより獲得されていくものが「空想
知」です。
「空想知」とは、遊びの心を持ちながらワークショップを楽しみ、そこで得られた気づき、今まで自分にはなかったもの、
新たな発想、感動などを、実社会で使用できるようになった知識のことです。 知識にもさまざまなものがありますが、
「空想知」を、すでに持ち合わせている知識と出会わせることによって既成概念を越えた新しいものが生まれたり、積
極的な行動につながることを期待しています。
効果
これらによって期待される効果として、表現力・発想力・行動力・コミュニケーション力・チーム力の強化や他者理
解・積極性・達成感の獲得などがあげられます。
想像力の積み重ね、ぶつかり合い、融合によって生まれて来る「空想知」を掴み取り、そして利用することによって、企
業では事業に新しい展開をもたらしたり、組織生成に優良な効果を発揮することができるでしょうし、また、学校教育・
文化施設などのインフォーマルな学びの場でそれを得た人達は、人生や生活に豊かさや感動を感じたり、日常を今ま
でとは別の方向から見る力を養うことができるようになると考えます。